本学医学部・病院で発生した医療倫理違反行為についてのお詫びならびに対応と再発防止策に関するご報告

2012年07月03日

慶應義塾大学医学部長 末松 誠
慶應義塾大学病院長 武田純三


 本学医学部・病院で実施されていた臨床研究に関して、平成24年1月、厚生労働省が定める「臨床研究に関する倫理指針」に反する重大な違反行為が発生していたことが判明致しました。即ち、研究目的で患者さんの同意(インフォームド・コンセント)なしに血液あるいは骨髄液を採取したという許されがたい事実です。この行為は「臨床研究においては、被験者の福利に対する配慮が科学的及び社会的利益よりも優先されなければならない」という臨床研究の根本的規範を著しく逸脱するものです。私たちはこのような事態を招く結果となったことを深く反省し、本学医学部・病院が社会的な信頼を大きく損ねてしまいましたことを厳粛に受け止め、ここに改めて謹んで深くお詫び申し上げます。

本学医学部と病院は、平成24年1月30日に外部専門家2名を含む緊急専門倫理委員会を設置し、真相究明のための詳細調査、原因分析を進めてまいりました。また、3月19日には医学部・病院による記者会見を行いご説明と謝罪を致しました。さらに事実の解明と実態の調査分析を進め、その後、本件違反行為を起こした医師の処分と具体的な再発防止策についての立案を進めて参りました。上記を受けて、この度「臨床研究に関する倫理指針に関する調査報告ならびに再発防止策」を取りまとめ、平成24年6月29日、厚生労働省に提出を致しましたので、ここに公表させていただきます。

 一方、倫理指針違反の対象となった2名の医師(教授・専任講師)に対して、義塾規程に基づいて停職一カ月の懲戒処分を下しました。停職期間終了後に開始された再教育の過程で、両医師は本件の倫理違反問題の重大性、社会的影響が甚大であることについての認識を新たにし、本年6月30日付で本学を引責辞職致しました。

 私たちは今回の事態を深く反省し、同様の事案の再発防止を徹底し、本学の医学・医療に対する社会の信頼回復に全力を傾注致します。また倫理性・安全性・信頼性・科学性を担保しつつ臨床研究が遂行されるよう、細心の注意を払い、且つ、再発防止のために可能な限りの対策を練って、可及的速やかにこれを実施して参ります。

 ご迷惑をおかけした皆様には、重ねて、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。

[資料]
・2012年3月19日
記者会見報道資料「倫理指針に違反した臨床研究について(お詫びとご報告)」
・2012年6月29日
厚生労働省に提出した調査報告書「臨床研究に関する倫理指針」違反に関する調査報告ならびに再発防止策について
※厚生労働省には実名を報告いたしましたが、本資料は、匿名とさせていただいております。

以上

担当:慶應義塾大学
信濃町キャンパス総務課