医療人の育成
育成プログラム
医師卒後臨床研修センター、専修医研修センター
慶應義塾大学病院は、1920年の開院以来、患者さんに優しく、患者さんに信頼される、患者さん中心の医療を実践し、「豊かな人間性と深い知性を有する医療人」を育成してきました。 初期臨床研修では、アカデミックな医療環境のもとで、各人が高いモチベーションを持って、基本的な臨床能力を幅広く修得します。その特徴として、1) 多彩で豊富な臨床症例の経験、2) 熱意ある、優れた指導医により、最新の医療知識と臨床技能を確実に修得する研修システム、3) 目標とする医師像(キャリア・パス)を考えながら、希望診療科を選択できる柔軟な研修プログラムがあります。 専門医研修では、指導医と研修環境の充実した教育中核病院と緊密なネットワークを形成し、最先端の医療知識と臨床技能などの高い専門性(subspeciality)を確立するとともに、地域医療を支える総合的な診療能力を涵養します。一方、専修医と大学院生を兼業できるシステムなどを活用し、基礎-臨床医学一体型の研究マインドを有する臨床医(Physician Scientist)を育成します。
看護師看護部
看護部では、自律した看護師をジェネラリストとして捉え、成長発達を支援しています。ジェネラリストとは、臨床看護実践において、いかなる領域・対象(急性期・慢性期・回復期・末期、疾患年蓮など)においても、基本となる専門的知識と技能を応用して、役割発揮できる看護師です。看護師の役割は、先進医療の場で多職種と連携し、患者さんに向き合い、患者さん自身が自分らしい生き方を描いていけるよう、多方面から支援をしていくことです。個々の看護師が、自身のライフサイクルに合わせてキャリアを積みながら成長できるよう、様々な視点から教育支援を行なっています。 学生支援においては、慶應義塾大学看護医療学部の看護実習をはじめ、日本赤十字社や東京都看護協会の看護管理者実習、認定看護師や専門看護師の実習、JICA(独立行政法人国際協力機構)の海外からの研修生の受け入れなど、看護職の育成において社会的役割を果たせるよう取り組んでいます。
薬剤師薬剤部
薬剤部では、慶應薬剤師キャリアパスに基づき、チーム医療の一翼を担う薬剤師の育成を支援しています。入職1~2年目は、調剤、注射薬混合調製、医薬品情報や院内製剤調製等の病院薬剤師の基本業務取得のためのローテーションを組み、さらに、入院患者さんへの服薬指導を行うために必要な基礎知識や技能を習得するため、各部門ともシラバスを設定し、指導を実施しています。3年目以降は、より広い疾患領域の知識の習得をするとともに、医師や看護師等の多職種が関わるチーム医療の一員として専門知識を身につけ、目標とする領域の資格を取得する支援体制を整えています。そのため、臨床上問題となった事案は解決すべきテーマとして掲げ、新規性・進歩性が生み出された場合は、積極的に学会発表および論文執筆に取り組むようにしています。 学生の教育においては、本学薬学部の5年次実務実習生や6年次アドバンストコース実習生を受け入れており、医療の高度化に対応した薬剤師の育成にも力を注いでいます。
診療放射線技師放射線技術室
放射線技術室の各部門(一般撮影、造影、CT・MRI、核医学、放射線治療、予防医療)において、業務マニュアルを基にOJTで指導するとともに、独自の教育プログラム(ジェネラリストとしての基本や専門的知識を深め、段階的にスペシャリストとしての自己目標が定められるよう設定)に沿って、診療放射線技師や臨床検査技師(非放射線画像検査)の教育・育成を行っています。新人には、育成担当者による指導や相談等のサポート体制を構築し、定期的に自己評価と他者(指導者)評価を行ない、フィードバックを通して人材育成を行っています。研究については、専門領域の先輩が研究計画の相談や指導を行ない、院内勉強会による発表の機会を設けており、研究会や日本放射線技術学会を始め、さまざまな学会で研究発表を行ない、技術新人賞や新人研究奨励賞などを受賞しています。専門・認定資格の取得についても、資格取得者が指導を行ない、積極的に各種認定試験にチャレンジしています。画像診断技術学、核医学・放射線治療の臨床実習施設として、複数の養成学校から、毎年20名以上の実習生を受け入れ、先端医療機器を用いた最新の医療技術の臨床実習を行っています。
臨床検査技師臨床検査科輸血・細胞療法センター病理診断科
臨床検査技師は、臨床検査科、病理診断科、輸血・細胞療法センター、産婦人科など病院の様々な部門で働いています。その専門性に応じて育成をしていますが、ここでは臨床検査科の教育プログラムを紹介します。臨床検査科では、臨床検査技師の基本教育を行った上で、専門分野樹立のためスペシャリストの養成を行い、将来的には日本の臨床検査をリードする人材の育成に努め、臨床検査技師の「精鋭」の創出を目指しています。新たに専任職員となった者は、基本となる「休日・時間外検査」「採血業務」および「心電図・肺機能検査」といった幅広い分野の基礎知識を1年間で修得します。個人の得意分野、能力を見極め、自らの能力を知ることもこの期間の教育の目的のひとつです。2年目以降は専門性を高めることを目的として、特定の部署に3~5年間固定することを原則とし、各種認定試験の資格取得を推奨しています。 臨地実習については、年間6施設から約20名を受け入れています。また、他の医療機関から、骨髄標本鏡検や心エコーなど、臨床検査技師の研修も受け入れています。