3号館自由診療のご紹介
慶應義塾大学病院では、新たな取り組みとして、多様化する患者さんのニーズに応えるべく、医学的・科学的根拠に基づいたさまざまな医療サービス(自由診療)を提供しています。
本医療サービスは、慶應義塾大学病院の医療スタッフが、病院全体と同水準の医療安全、医療の質管理のもとで、患者さんに安心・安全な自由診療を提供し、多くの患者さんのQuality of Lifeを高めることを目的としています。
スポーツ&メディカルフィットネスセンター
PRP療法
PRP療法は、自身の血液を遠心分離して血小板や生理活性物質(サイトカイン)を多く含む分画を患部に注入する治療法です。組織修復、抗炎症を目的にスポーツによる関節・靭帯・筋肉・腱の損傷や炎症、加齢による関節痛(変形性膝関節症など)の治療法として、近年急速に広まりました。一方で、従来のPRPは組成がまちまちで、投与する側もされる側も中身(血小板やサイトカインなどの量)が分からず、どのようなPRPがどの病態に効果があるのか医学的根拠が希薄でした。私たちはこの問題を解決すべく慶應義塾大学発のスタートアップ企業であるアディポシーズ社と技術協力し、これまでと異なる遠心分離法により、①既存のPRPよりも血小板回収率(濃縮率)がはるかに高く、②「中身(血小板やサイトカインなどの量)の分かる」安心なPRPを作製します。この世界的にもユニークな技術によりPRP療法の効能や適応と限界などについて、しっかりとした医学的根拠を構築していきます。
メディカルフィットネス
メディカルフィットネスは、医師とトレーナーが密に連携し、医科学的に適切な運動療法を提供します。薬を処方するように、確かなエビデンスに基づく一人ひとりに適した「運動」を「処方」します。
また、予防医療センターや各診療科と連携して、未病の方や疾患をお持ちの方、あるいは手術後の方でも利用できるサービスを提供していきます。
赤ちゃんの頭のかたち外来
慶應義塾大学病院の小児頭蓋顔面センターでは、頭蓋縫合早期癒合症という病的な頭の形の変形に対する治療に力を入れています。これまで多くの赤ちゃんの頭蓋変形の相談があり診察をしていますが、その多くは、病的な頭蓋縫合早期癒合症に伴うものではなく、向き癖など外部からの圧力が原因の頭の歪みです。この変形を位置的頭蓋変形と呼びます。
位置的頭蓋変形は中等度以上になると、耳の位置が変わってしまったり、おでこや頬など顔の中で左右非対称を起こしたりします。耳の位置が変わってしまうと、メガネのさやの位置が変わってしまうためにうまくかけられないという問題が将来的に起こる可能性があります。
そういった状態を身体を傷つけることなく改善させるには、赤ちゃんの頭囲が急成長する生後3ヶ月から生後6ヶ月頃までの間に治療用のオーダーメイドのヘルメットを作成し、約半年間装着します。
当院では、小児科、脳神経外科、形成外科が連携して診療に当たり、適切な診断を行います。病気によって歪みが生じているのか、または位置的変形なのか、適切な鑑別診断(頭蓋健診)を受け、状況に応じた治療を受けることが可能です。
美容医療
当院の美容外来では、アフターフォローを含め一貫して当院形成外科の医師が診療を担当し、学問的に検証された安全な美容医療を、厳重な医療安全管理体制のもとに提供します。大学の使命である臨床・研究・教育の観点で、安全・安心の美容医療を提供することが、慶應義塾大学病院で美容医療診療を行う目的です。
まず痩身、黒子、瘢痕(きずあと)の治療を開始します。これには慶應義塾大学医学部形成外科学教室で長らく研究を行っている創傷治癒・皮膚再生の基礎研究の結果と、それに根差した臨床応用に基づいています。
また、どのような医療行為でも合併症はわずかながらも発生しますが、当院では合併症に対する治療も安心して受けることができるシステムを作っております。診療は完全予約制で、それぞれのお悩みに対して丁寧にコンサルトし、施術します。
瘢痕(きずあと)に対する手術・レーザー治療
当科では永らく、きずあとなく皮膚を跡形もなく再生させる基礎研究を行ってきました。その知見を活かし2012年に世界で初めて、リストカット後のきずあとに対して「薄型採皮90度回転植皮」という先進的な手術方法を開発しました。そのほか、きずあとの状態に合わせ、さまざまな皮膚移植のバリエーションで、きずあとに対する手術治療を提供しています。
きずあとに対するレーザー治療も可能です。当院のCO2フラクショナルレーザー治療では、肉眼ではほとんど見えない細かいサイズで皮膚にレーザーを照射し、蒸散させます。その結果皮膚が収縮し、きずあとの範囲が小さくなったり、くっきりとしたきずあとの辺縁がぼやける効果が期待できます。
医療痩身(日帰りでできる部分痩せ治療)
食事制限や運動などのダイエットは全身的な効果がありますが、特定の部位だけを痩せさせるには、その部分の脂肪細胞に直接アプローチした治療が有効です。当院では、安全性を重視し、脂肪冷却治療と脂肪吸引療法を行っています。
脂肪冷却治療は、脂肪細胞が低温に弱いという特徴を利⽤した治療法です。専⽤機器を治療したい部位に装着し脂肪細胞を結晶化させると、その後脂肪が分解し徐々に体外に排出され、これとともに部分的な痩身が可能となります。脂肪細胞の数自体を減らすことができるので、リバウンドしにくい点が特徴です。
当院で採用しているクールスカルプティング®は、アメリカのハーバード⼤学を中⼼とした医師のグループにより開発され、2024年8月時点で国内では唯一、薬事承認を取得している製品です。
黒子(ほくろ)
小さな黒子をCO2レーザーで蒸散させ、丸いきずあととして収縮させることで、なるべく綺麗なきずあととなるように黒子を除去します。
手術のように術前の採血検査等は必要とせず、すぐに治療することが可能です。部位や状態に応じて、治療の適応を医師が判断することが必要になります。
ニューロモデュレーションセンター
運動麻痺治療
これまで、脳卒中や脊髄損傷などの中枢神経損傷に起因する運動機能障害は、ある一定期間を過ぎると回復しないという考えが定説でした。しかし、近年、さまざまな治療機器を用いた新しい治療法が開発され、急性期や回復期のあとの生活期においても運動機能の改善が見込めることがわかってきました。ニューロモデュレーションセンターでは、中枢神経損傷後の運動機能障害を抱える患者さんに対してニューロモデュレーション治療を行い、機能改善に取り組んでいます。
ニューロモデュレーションとは、外部からの刺激により神経活動を調整することを指します。脳卒中や脊髄損傷などによって生じる神経活動の低下や過活動を、この技術により整え、運動練習の効果を高めます。具体的な治療機器として、大脳皮質の神経細胞に直接的なアプローチを行うことができる経頭蓋磁気刺激(TMS)装置、脳波から運動意図を読み取りロボットを動かすニューロフィードバック機器、生体電位信号を検出して歩行をアシストする歩行ロボットなどがあります。
当センターでは、これらの先端的な医療機器を活用し、科学的な根拠に基づく治療を安全に提供することで、患者さんとご家族の生活がより豊かになることを目指しています。
がんゲノム外来
同じがんでも、がん細胞の遺伝子変化は患者さんごとに異なります。がん遺伝子パネル検査は一度に数百種類の遺伝子変化を検査することが可能です。この検査により、がんの性質をより細かく理解し、一人ひとりに合った治療法を選択できる可能性が広がります。
保険診療によるがん遺伝子検査が適応でない患者さん、詳しい検査を早く行いたい患者さんなどに、自費診療によるがん遺伝子パネル検査をご案内します。
肺がんを対象とした、がんゲノム外来は3号館3階3Yにて実施しております。その他のがん遺伝子外来については、1号館3階3Aにて実施しております。
ご予約や内容に関するお問い合わせは以下にて受け付けております。
3号館3階 3Y受付
03-5363-3858
(電話受付時間:診療日の8:30~17:00)