イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法

実施診療科 皮膚科
承認年月日 2020年2月1日
適応症 進行期悪性黒色腫(KIT遺伝子変異を有するものであって、従来の治療法に抵抗性を有するものに限る。)

主な内容

先進性

進行期悪性黒色腫に対する治療は、2014年以降の相次ぐ新薬承認により大きく改善されてきています。現在本邦では、ニボルマブ(商品名:オプジーボ®)をはじめとした免疫療法の薬剤に加えて、BRAF遺伝子変異症例に対してはBRAF阻害薬(MEK阻害薬併用)が保険適用となっています。しかし、BRAF遺伝子変異が検出される患者さんの割合は、日本人患者さんの27%ほどであり、大半の患者さんにこの薬剤は適応とならない現状があります。これまでに、手足や爪、口の中や鼻の粘膜などに生じた悪性黒色腫は、KIT遺伝子変異を認めることがあることが分かっており、KIT遺伝子は治療標的として期待されてきました。KIT遺伝子変異を有する患者さんにおけるKIT阻害薬療法の海外での臨床試験では、腫瘍の縮小効果が得られる割合が16〜26%と報告され、特に米国においてはガイドラインに記載され、イマチニブの適応外使用が可能となっています。このため、新規の検証的試験は計画されておらず、本邦においては海外の状況に加え、悪性黒色腫は希少がんに該当することから企業主導の国内での開発は行われにくい現状があり、そのため医師主導での臨床試験が必要な疾患・治療薬となっています。
イマチニブは、単剤での治療効果は限られていますが、近年、免疫チェックポイント阻害薬併用による相乗効果を示す基礎データが集積され、併用療法がKIT遺伝子変異症例に対する治療戦略として期待されています。日本人の悪性黒色腫は欧米人に比して手足や爪、口の中や鼻の粘膜に生じる割合が多いこと、また、BRAF遺伝子変異を有さない進行期の患者さんにおいて免疫療法が効かない場合の治療選択肢が限られること、新しい併用療法であることから、本治療は先進性がある治療であると考えられます。

概要

本先進医療は、KIT遺伝子変異を有する進行期悪性黒色腫患者のうち、既存治療に抵抗性を示す患者さんに対してKIT阻害薬(イマチニブ)、抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)を併用した治療を行い、ペムブロリズマブ投与量を固定した際のイマチニブの用量を検討し、推奨用量を決定します(第I相試験)。さらに、推奨用量の併用療法の症例集積を継続し、その有効性と安全性を検討します(第II相試験)。

効果

KIT遺伝子変異を有し、既存治療に抵抗性を有する進行期悪性黒色腫に対し、腫瘍の縮小効果が期待されます。