抗腫瘍自己リンパ球移入療法
(子宮頸癌を対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法))
実施診療科 | 産婦人科 |
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承認年月日 | 2021年1月1日 |
適応症 | 子宮頸癌(切除が不能と判断されたもの又は術後に再発したものであって、プラチナ製剤に抵抗性を有するものに限る。) |
主な内容
先進性
現在、進行子宮頸癌に対する化学療法はプラチナ製剤とタキサン製剤の併用療法が主に行われていますが、その効果は十分ではありません。本療法は悪性黒色腫に対する新規の治療法としてアメリカ国立がん研究所で開発されたもので、子宮頸癌に対する奏効率は33%(3/9)とされ、完全奏効も22%(2/9)と報告されています。この治療は、腫瘍切除後から約6週間という短期間に、抗腫瘍自己リンパ球を約1,000倍にまで増殖させる技術を必要とする点、世界でアメリカ、イスラエル、デンマークなどの一部医療機関でのみ行われている治療である点で先進性があると考えられます。
概要
本先進医療で実施する腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte : TIL)を用いた養子免疫療法(TIL療法)は、転移病巣等の子宮頸癌組織を外科的に切除し、腫瘍に浸潤しているリンパ球を約6週間かけて高速大量培養し、再度体内に戻す治療法です。培養に必要な同種異系末梢血単核球は患者さん1人に対して3人のボランティアドナーから事前の成分採血によって採取します。TIL輸注の際に2種類の抗がん剤(シクロホスファミド、フルダラビン)による化学療法によって強力な骨髄抑制を行うとともに、輸注したTILを刺激するためにインターロイキン-2(IL-2)の投与を行います。
効果
抗腫瘍効果による腫瘍縮小・消失、生存期間の延長が期待されます。