AI技術を活用した当院での取り組み(AIホスピタル)

AIホスピタルについて

慶應義塾大学病院は、2018年10月に内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」に採択され、IT化・AI化を推進しています。近年急速に進歩してきたさまざまなICT、AI技術を病院内に実装・統合し、実現可能なAIホスピタルモデルを構築しています。その結果、患者さんに安心・安全で高度な先進医療を提供しながら、医療従事者の負担を軽減することを目指しています。

1.患者さん向けの診療サービス

1-1.デジタルサイネージ

病院の情報や取り組みを患者さんにお伝えするために、従来は壁にたくさんの紙が貼られていました。このような内容を効率的にお伝えする仕組みとして、デジタルサイネージを玄関や外来ブロック受付に設置しました。美しい風景などの心を癒す画像も流していますので、ぜひご覧ください。

1-2.車いす型自動運転サービス(WHILL)

長距離歩行に不安のある方や足腰が不自由な方、そしてご自身で目的地まで移動することが困難な方々に、院内を快適に移動していただけるよう、車いす型の自動運転サービスを提供しています。

<利用時間>
10:00~15:00

<ルート案内図>

※乗車方法等詳細はこちらをご確認ください。
(株式会社WHILL社のYouTube公式チャンネルに移動します。)

1-3.LINEを使用したサービス(外来呼び出し、予約確認等)

コミュニケーションアプリ「LINE」で友だち登録をすると、以下のようなさまざまな機能が利用できます。(自動再来受付機、ブロック受付での来院受付は毎回必要です。)

〇外来の待合呼び出し機能
診察の順番が近くなると通知が届きます。

▶ご予約時間の10分前にお知らせ

▶診察直前にも再度お知らせ

〇予約情報のリマインド通知QRコード送付
診察前日の15時に予約情報、QRコードを通知します。

〇自動再来受付機QRコード受付
診察券の代わりにQRコードが利用できます。

〇外来予約の確認
「予約」または「よやく」と送信すると、いつでも予約を確認することができます。

友だち登録方法※QRコード掲載のチラシは各ブロック受付で配布しています

1-4.デジタルタブレット問診

初診の方は待ち時間を活用してタブレットで問診事項の入力いただくことでカルテ記入時間を短縮し、初診時の診察に集中できる体制を目指しています。

1-5.医療データデジタル送信サービス(MeDaCa)

血液検査等の検査データ、おくすり情報、レントゲン写真やエコー画像といった、身の回りにある医療情報をカンタンに自分のスマートフォンに収納し閲覧することができます。

1-6.オンライン診療サービス(MeDaCa・CLINICS・MICIN)

一部の診療科や特定の疾患、セカンドオピニオンを対象としてアプリを用いたオンライン診療を行っています。来院する時間の確保ができない方や来院が困難な方でご利用をご希望の方は、主治医に確認いただくかオンラインセカンドオピニオンの申し込みから相談終了までの流れをご確認ください。

プレスリリース「慶應義塾大学病院産科外来において遠隔妊婦健診を開始」
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2020/7/15/28-71224/

プレスリリース「慶應義塾大学病院の糖尿病・肥満症外来において血糖のクラウド管理システムを用いた遠隔診療を開始」
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2020/12/22/28-77042/

1-7.在宅患者モニタリングシステム

患者さんが使用しているスマートフォンやスマートウォッチ、環境センサーから得られる生活習慣・生活環境データ、さらに在宅医療機器から得られる自己測定検査データ(血圧・血糖など)を1つに集約するアプリケーションを開発し、患者さんお一人お一人に合わせた質の高い診療やオンライン診療に役立てる事を目指しています。

プレスリリース「慶應義塾大学病院の糖尿病・肥満症遠隔診療において 医療機器メーカー各社とのクラウド連携による 「拡充型血糖クラウド管理システム」の運用を開始 ―医療機器メーカー各社の簡易自己血糖測定器の情報を集約―」
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2022/1/27/220127-1.pdf

1-8.循環器モニタリングシステム

Apple Watchを活用した心臓病の早期発見や、Electronic Health Recordによる生活習慣病の見守りプロジェクトを行っています。ヘルスケア、電子カルテ、遠隔診療を統合したビッグデータを人工知能分析することで、病院と家庭をつなぐヘルステック開発を目指しています。

2.患者さん向けの検査プロジェクト

2-1.着衣型ホルター心電図

着衣型ホルター心電図(一般的名称:長時間心電用データレコーダ)は慶應が開発に携わってきたシャツのように着脱が可能な3誘導心電計測システムです。従来のホルター心電図検査と異なり患者自ら着脱が可能で入浴も簡便に行うことができます。2022年3月に保険適応となりました。

プレスリリース「患者自ら装着可能な着衣型心電計測システムによる長時間心電検査を実用化-医療機器の保険適用開始-」
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2022/4/25/28-123395/

2-2.新眼科医療機器の導入による業務改善

眼科ではiPhoneのアタッチメントの眼科医療機器の導入や視力検査の自動化を進め、診察まで時間短縮や効率化を進めています。

視力検査フルアシストシステム

iPhoneアタッチメント型医療機器
Smart Eye Camera

2-3.微生物検査室の全自動解析とロボット化の実証

微生物検査のあらゆる処理を可能な限り機械化し、さらに画像解析やAIと組み合わせることで、効率化と感染症診断の迅速化を目指しています。

2-4.立位CTを用いた検査の非接触・遠隔化

立位CTは慶應が企業と開発した新たなCTです。通常のCTと同様に体の一般的な評価に加えて、立位で症状の出る疾患や、嚥下・排尿・歩行など立位での機能の評価にも有効です。さらに、臥床の必要がなく、X線検査の様に立ったままCT装置の中に出入りできます。パンデミック下でも技師さんの介助がなく非接触・遠隔操作で行える検査であることを検証しました。

プレスリリース「世界初の『全身用320列面検出器型の立位・座位CT』を産学連携により開発」
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2017/5/2/28-20510/

2-5.AIによる画像診断支援システムの開発と導入

画像および臨床情報を統合的に活用できるデータ基盤を整備しています。この基盤を用い、AI技術を活用した画像診断支援システムの開発・導入・検証を行い、医師の診断をサポートする事で診断精度の向上、新たな診断指標の開発を目指しています。

2-6.高精細デジタルスキャナーを用いた病理診断

高精細デジタルスライドスキャナーの導入により、病理診断医の診断・研究の業務効率の改善や多様化する働き方に対応できる環境づくりとともに,各臨床科との緊密な連携がとれる体制構築を目指しています。

3.医療者向けの業務負担軽減・効率化

3-1.入院病床の管理(コマンドセンター)

入院病床管理システムは、院内病床の稼働状況、患者さんの重症度や退院時期の見極め、看護師の業務状況などを可視化したシステムです。高度急性期医療を提供する病院として、患者さんが適切な時期に入院・退院できるように病床を管理し、病床稼働率の向上と効率化を目指すために院内で活用を進めています。

3-2.お薬搬送ロボット

院内で調剤された薬品を病棟へロボットが搬送し、お薬を必要とする入院患者さんへ速やかにお届けします。

3-3.お薬ピッキングロボット

院内調剤に薬品ピッキングロボットを導入して調剤業務を一部自動化し、薬剤師の業務負担軽減と調剤業務の効率化を進めています。

4.本事業についてのお問い合わせ先

AIホスピタル事業では多種多様な企業・医療機関と共同で開発・研究を行っております。
ご興味をお持ちの方は、こちらよりお問い合わせください。