アルコール

アルコール摂取時にくすりを服用してはいけないの?

俗にアルコールを飲用していると「麻酔がかかりにくい」とか「薬物の効きが悪い」とかいわれています。また逆に感冒剤の服用は薬が効きすぎることが報告されています。

アルコールの摂取によって作用が増強または減弱したり、予期せぬ副作用が現れるため薬物を服用する際には、アルコール類は避けてください。

どうして?たとえばどんな薬?

催眠鎮静剤、抗不安剤、抗精神病剤、抗ヒスタミン剤(めまい、頭痛、呼吸の抑制等)、降圧剤(たちくらみ、起立性低血圧誘発)などは、アルコール自体の作用(中枢神経抑制作用や血管拡張作用)により作用が増強されるため注意が必要です。

また、アルコール自体には低血糖になりやすいという特徴があり、血糖降下剤を服用している方が飲酒した場合、血糖値が下がりすぎて昏睡状態になったり、精神障害を起こし、鎮痛剤は胃腸の出血を起こしやすくなることがあります。
その他にも肝臓においてアルコールと代謝が競合する薬があります。

生体に取り込まれたアルコールのほとんどは肝臓において代謝され、80%がアルコール脱水素酵素(ADH)を介してアセトアルデヒドへと代謝され、炭酸ガスと水になり主に尿中に排泄されます。残りの20%は非アルコール脱水素酵素系であるミクロソーム-エタノール酸化系(MEOS)により代謝されアルデヒドになります。MEOS系は、アルコールの常飲により亢進します。MEOS系には、薬物の代謝系と同様のチトクロームP450という物質が関与しており、アルコールはこのチトクロームP450を介する薬物の代謝を抑制するといわれています。従って作用が増強されます。また、アルコール常飲者の場合や代謝物に薬効がある場合などは逆に作用が減弱する場合もあるので、注意が必要です。

慢性アルコール中毒に対する抗酒療法に用いられる一部の抗酒剤では、アルコールの代謝酵素のアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)を阻害します。その結果血液中のアセトアルデヒド(二日酔いの原因)の濃度が上昇し、顔面紅潮、心悸亢進、血圧降下等の不快な症状(フラッシング反応)が引き起こされてアルコールを忌避するようになります。

アルコール含有製品

一般的にアルコールというと、ビール、ウイスキー、ワイン、日本酒のことを想起しますが、この様な酒税法の課税対象になる酒類はエタノールを1%以上含むものをいいます。しかしその他にもアルコールを含む物があり、無意識のうちにアルコールを摂取してしまいますので注意が必要です。

また、一部の点滴抗がん剤(パクリタキセル)ではお薬を点滴に溶かすために微量のアルコールを使用しており、アルコールに弱い方では点滴後に酔っぱらったような症状が起きることがあるため注意が必要です。