百寿総合研究センター

部門のご案内

百寿総合研究センターは2014年4月に発足した新しい部門横断型の高齢医学研究センターです。急速な少子高齢化の進行を背景に高齢者の自立と活力の維持が国家的に重要な課題となっています。とりわけ超高齢期(85歳以降)は認知症やサルコペニアなど各臓器の老化が原因となる疾患が増加し、自立とQOLの阻害要因となっています。当センターは超高齢社会を見据えた新しい予防医療、健康増進法を確立するため、各専門の診療科と基礎研究部門と協力して国民の皆様の健康長寿を支える包括的医学研究拠点を目指します。また、百寿者に関する包括的な研究・教育・診療を通じて予防医学研究や医療を実践し、超高齢社会に対応する医学・医療の発展に貢献できる学際的人材の育成に寄与することを目的としています。

特色・方針

図1 百寿者、超百寿者の総人口に対する割合(2010年国勢調査)

健康長寿のシンボルともいえる100歳以上の高齢者のことを百寿者といいます。慶應義塾大学医学部では20年以上にわたって百寿者調査を継続しており、これまでに蓄積された800人以上の百寿者の医学データ、遺伝情報をもとに以下のプロジェクトを推進しています。
1. スーパーセンチナリアン研究
110歳まで到達するスーパーセンチナリアン(SC)は人口150万人に一人という稀有な存在で、究極の健康長寿モデルと考えられます(図1)。私たちはSC 100名の全ゲノム配列解析を行うプロジェクトを準備しており、長寿遺伝子の探索および究極の長寿のコントロールデータとして、遺伝子レベルで病気と健康を比較し、将来の医療に役立てていくことを進めています。
2. 85歳高齢者の包括的疫学研究
生活習慣と健康長寿の関連も重要な研究テーマですが、この点では85歳高齢者調査に力を入れています。当センターでは2008年から調査を継続している地域在住の85歳高齢者500名に加え、本年度から施設入居者500名の調査を開始し、世界的にみてもデータが不足している超高齢者の身体計測や生活習慣の指標(ものさし)の提言を目指しています。

ご挨拶

百寿総合研究センター長 新井康通教授

わが国は平均寿命、健康寿命(自立して生活できる期間)ともに世界のトップクラスですが、平均寿命と健康寿命の間には男性で約9年、女性では約13年のギャップがあり、さらなる少子高齢化の進行に伴う医療・介護負担の増加が懸念されています。高齢者の生活の質の確保と社会保障システムの持続可能性を両立するためには健康寿命の延伸が重要なカギとなります。百寿総合研究センターでは20年にわたって医学部に蓄積された百寿者の研究バイオリソースを最大限に活用して超高齢社会を支える知識基盤を確立するため、広く臨床各科と基礎系の研究者が連携して包括的老年医学研究に取り組む拠点として発展することを目指しております。

主な実績

図2 百寿者・超百寿者全国調査マップ

慶應義塾大学医学部では20年以上にわたり、特別招聘教授の広瀬 信義先生(2019年3月末をもってご退官)を筆頭に百寿者調査を継続しており、これまでに800人以上の百寿者の訪問調査を完了し、膨大な医学・生化学データ、血液・遺伝子サンプルを所有しています。特に2002年からは105歳以上の超百寿者の全国調査を開始し(図2)、世界各国の百寿者研究と比較しても105歳以上、特に110歳以上のスーパーセンチナリアンのサンプル数が豊富な点が特徴です。世界に誇る研究バイオリソースを生かし、慶應百寿者バイオバンク(仮称)の設立を準備中です。
また、健康長寿の最大の阻害要因として虚弱(フレイル)の分子メカニズムの解明に焦点をあて、調査を行ってきております。
虚弱の臨床兆候としては以下の5項目です。
1 動作の緩慢
2 筋力の低下
3 疲れやすさ
4 身体活動の低下
5 意図しない体重減少
また、認知症やうつ状態など高齢期の精神神経疾患の予防、生活習慣病、特に糖尿病の予防が重要なことも百寿者研究から明らかになっております。

募集採用について

百寿総合研究センターでは健康寿命の延伸を支える研究拠点を目指すべく、百寿者、スーパーセンチナリアン、85歳高齢者の包括的疫学調査を精力的に推進します。そのため各専門臨床科、基礎研究部門からの協力センター員を募集しております。85歳高齢者研究ではこれまでも、学内の関連研究を行う学部や、診療科・部門など塾内の多くの研究者による学際的ジェロントロジー研究を進めてきましたが、2014年5月に農林水産省 医福食農連携推進環境整備事業計画の採択を受けて、今後は企業コンソーシアムとの産官学共同研究に発展します。既存の研究領域にとらわれない、新鮮な発想をもつ若い研究者の皆さんの参加をお待ちしています。

研究における教育・指導内容:研究者向け

健康長寿の達成には高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣予防も重要ですが、特に後期高齢期(75歳以降)、超高齢期(85歳以降)では諸臓器の老化に基づく虚弱(フレイル)の予防がきわめて重要です。百寿総合研究センターでは虚弱の評価、診断をはじめ予防のための栄養摂取、身体活動、社会参加等の幅広い健康増進について、高齢者研究の第一線で活躍中の連携スタッフから講義を受けることができます。また希望者には百寿者、85歳高齢者の包括調査の見学も受付けています。

超百寿者調査へのご協力のお願い:一般の方

百寿総合研究センターでは、スーパーセンチナリアン 150名のサンプリングを次の目標にしております。そのため、108歳以上で研究にご協力いただける方を募集しております。全国どこへでも訪問調査(問診、簡単な診察、心電図、採血で1時間~2時間程度)にお伺い致しますので、是非ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご紹介ください。

報道関係・講演依頼をお考えの皆様へ

このたびは本WEBページをご覧頂き、誠にありがとうございます。

当センター員へのご取材・講演ご依頼等につきましては、本学総務課・広報窓口で事前のお申込みをお願いしております。

ご取材のご依頼やお問合せをご希望の際には、企画概要を添付の上、「慶應義塾大学信濃町キャンパス総務課 広報担当」へご連絡頂きますよう、ご協力の程お願い申し上げます。

慶應義塾大学病院に関する取材のお申込について(慶應義塾大学病院HPサイト):http://www.hosp.keio.ac.jp/toi/shuzai.html

連絡先

より詳しい情報は当部門の専用webサイトをご覧ください。

  • 電話03-3353-1211 大代表
  • FAX03-6709-9140
  • MAILCSMR-group★keio.jp

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